中日の調剤什器の誕生に秘話
――DPシリーズ、そしてDPSシリーズへ――

01 チーム結成と未知なる挑戦

当時、製品開発チームが立ち上がったのはどのような背景だったのでしょうか?

はい、ドラッグストアが調剤薬局の併設に力を入れ始めた時期でした。当時は2010年1月ですね。市場の動きが非常に速く、その中で「勝てる調剤台」を作るという大きなミッションを受けました。メンバー全員が「調剤」という言葉に初めて触れる状況で、私を中心に、やる気のあるメンバー6名のチームが組まれました。誰もこれまで調剤台の設計経験がなく、まったく未知の領域でした。それでも、未知の世界に飛び込む楽しみはありましたね。
 

02 全国調査とヒアリング

具体的な開発の一歩目はどのように始まったのですか?

まずは全国各地へのヒアリングから始めました。あらゆる場所へ足を運び、現場の声を徹底的に拾いました。夜な夜な、集めた情報をもとに議論を繰り広げましたね。「他社とどう違うのか?」「ユーザーの使い勝手は?」「どうしたら収納量を増やせる?」など多くの問いに答えるためには、現場でのリアルな声ヒアリングが不可欠でした。営業の方にも協力頂き、ぶつかり合いながらも互いに尊重し、協力しあって進めた記憶がありますね。何度も試行錯誤を繰り返していくうちに、ようやく形が見えてきました。常に新しい発見しかなかったので、辛いという感じはしなかったですよ。

03 困難との戦い - 引き出しの隙間問題

具体的な開発中にどのような困難に直面したのでしょうか?

開発を進めてやっと、2010年の8月に岡山県にある調剤薬局に試験導入することが出来ました。ですが、いざ量産工程に入ったとき時に、引き出しを並べた際の「隙間」が一定にならない問題に直面しました。設計ではなく、組み立て工場での精度の問題でしたね。開発メンバー総出で工場に出向き、深夜まで手作業で微調整を行うことになりました。それはまるで“手研ぎ”のような作業で、数ミリ単位の調整を繰り返しました。深夜まで作業が続き、疲労困憊することもありましたが、その過程でチームの絆が深まりました。チームの技術と情熱が試される瞬間でしたね。組み立てスタッフとも密に連携し、何とか問題を解決することができました。

(当時の苦労話で盛り上がる開発メンバー)

04 開発ならではのこだわり:樹脂パーツとコスト削減

他に特にこだわった点はどういったところでしょうか?

やっぱり錠剤ケースですかね。他メーカーにない要素を入れたくてこだわりました。
錠剤ケースだけでも5項目の知的財産を取得しましたからね。
とにかく、調剤薬局の視察を重ねて現場を見る!聞く!触る!を繰り返して皆で知恵を出して作り上げた傑作品です。
後は、引き出しの取手の形状や手触り感にも非常にこだわりました。仕入れ品ではなく、自社で設計することで使用体験を高めることができました。繰り返し試作していくうちに、「取手」のことを開発チーム内では「トッティー」と呼び、愛情と情熱を注いでいましたね。(笑)

また、コスト削減も大切な要素でした。例えば、フリースライドの仕切りを採用することで金型投資を抑えつつ、多様なサイズに対応できるよう工夫しました。ほかにも、引き出しのレールにもこだわりました。ゴムパッキンの特性上、温度変化で硬さが変わるため、引き出しの軽さを調整するために何度も微調整を行いました。高価なレールを使わずにコスト削減しながらも、使用感を高める工夫を重ねました。

(取っ手の試作品の数々)

05 挑戦は続く・・・

その後の展開について教えてください。

そうしたブラッシュアップ繰り返し、世に普及していったのが「DPシリーズ」です。2010年の11月に販売を開始し、中日の新調剤台の始まりとなりました。これを基盤に企業の成長や市場ニーズの変化に応じて、様々な製品開発が進んでいきました。ここから調剤薬局への調剤台の開発が加速度を増していきました

06 新たな提案と進化

どのようにして新しいニーズに対応していったのでしょうか?

当時の一番大きな転換期はジェネリック医薬品の増加によって収納のニーズも変わってきたタイミングです。当時、木製棚を調剤什器の上に取り付けるケースが多かったですが、高い位置にあり物や薬が取りにくいことや、レイアウト変更に対応できないといった現場の課題がありました。こうした現場の課題を解決しようと、営業と密に連携し、現場の声を反映して誕生したのが「DPSシリーズ」です。これまでの物販用の陳列什器を活かし調剤什器に変えるという大胆な挑戦でしたね。ドラッグストアの併設店を中心に多くの薬局で採用されることになりました。その後はさらにジェネリック対応のため、スライドユニットやダウンキャビネットなど、これまでにない革新的な開発を進めていきました。市場の変化や、現場の声には常に開発のヒントがあり、新しい開発への鍵になるなと改めて思います。
 

(新たな進化から誕生したDPSシリーズ)

07 未来へ向けて

現在と今後の展望について教えてください。

当時の深夜までの作業や、ヒアリングの積み重ね、小さな改善の積み重ねが、今の中日製品の品質を支えています。進化を続けるための挑戦は今も続いています。常に前に突き進むって感じですよ。多機能監査作業台ポケット付きディバイドレールなど最近でも多くの新しい製品が開発されています。現場のニーズを製品で具現化し、お客様の課題を解決することが私たちの使命です。顧客の声に耳を傾け、新しいニーズに応えるための開発やシームレスなチームワークを大切にし、未来に向けて新たな製品を生み出し続けていきたいです。
 

 (開発への熱い想いを語る開発部長の江口)

素晴らしいお話をありがとうございました。これからも期待しています。

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